Monday, May 12, 2014
これからの日本の医療の方向
自宅で最期4~5割 「在宅医療は地域づくり」東近江市の永源寺地区
2013.12.7 15:17
発熱した女性を往診した花戸医師(奥)=滋賀県東近江市永源寺地区【拡大】
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■「自宅で最期」4~5割
最期は入院して管につながれたりせず、家で枯れるように死にたい-。そう考える人は多いが、家族や地域のつながりが薄れる中では困難に見える。しかし、中には「単身でも、希望すれば何とかなる」とする地域もある。滋賀県東近江市の永源寺地区は、自宅で亡くなる人が4~5割に上る。中山間地でもコミュニティーは薄れつつあるが、医療職や介護職が地域づくりにも働きかけている。(佐藤好美)
日頃から意思確認
「ご飯が食べられなくなったら、どうする? 病院に行く?」
東近江市にある永源寺診療所の花戸貴司医師は在宅患者に日頃から聞く。病状が深刻なときだけでなく、元気なときもだ。多くの高齢者がこう応える。「どこにも行かん、家にいるわ」「なんかあったら、先生に診てもらうわ」
花戸医師は「日常会話の中で、その都度聞いています。人の気持ちは揺れ動くし、本心を語ってもらえないこともある。普段から聞いておけば『なんで、今聞くの』と思われずに済む。死をタブー視せず、当然のこととしておくと、皆さん、しっかり考えて本当に雄弁に語ってもらえる」と話す。
永源寺地区は人口約6千人で高齢化率は約30%(全国平均24・1%)。花戸医師はこの地域で約80人の在宅患者を持つ。在宅看取(みと)りが増えたのは、着任から5年目くらい。患者の葬儀で「家で亡くならはったんよ」と話題になり、地域に「家で死ぬことができるんだ」と、驚きと実感が広がったらしい。葬儀後、聞きつけたおばあちゃんたちが紹介状持参で次々に診療所にやってきた。
「病院に行って最後まで治療するよりも、ここで生活を継続したいという願いが強い。僕はそれを聞いて、なるべく意に沿うようにするだけです」(花戸医師)
隙間を埋める
多世代同居もあるが、老老や独居の世帯も多い。家で暮らし続けるには、医療職や介護職だけでは手が足りない。「隙間」を埋めるのが、ご近所さんや家族。さらに、花戸医師は「ひ孫さんや犬も『チーム永源寺』の一員」と考えている。愛犬との散歩が日課の認知症の人もいれば、ひ孫が生まれて俄然(がぜん)、元気になった人もいるからだ。
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